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戸籍謄本と除籍謄本の違いやそれぞれが必要な場面

  • 文責:所長 弁護士 足立博之
  • 最終更新日:2025年9月29日

1 戸籍謄本、除籍謄本の意味

戸籍謄本とは、戸籍(人の出生から死亡に至るまでの親族関係を登録公証するもの)の記載内容全体の写し(謄本)です。

一方除籍謄本とは、戸籍が「除籍」(戸籍に在籍していた全ての人が死亡、婚姻、転籍などで戸籍から除かれてしまった戸籍)された内容全体の写し(謄本)です。

なお戸籍が「除籍」されますと、戸籍簿とは分けて除籍簿に保管されるそうです(戸籍法第12条第1項、第8条)。

2 戸籍謄本と除籍謄本の違い

上記1に記載のとおり、戸籍の記載内容が『現在』存在しているかどうかに尽きます。

例:戸籍簿に記載されている人が、一人でもいるか。

→子供が結婚して戸籍を出たり、ご主人に先立たれたりしても、奥様(お母様)がご存命であれば、戸籍は生きており、奥様(お母様)に関する事実が『現在』存在していることになります。

除籍簿(謄本)は、その記載内容が『現在』存在していないので、その謄本では、『現在』の戸籍に関する事実証明を直接することはできません。

例:上記の例で奥様(お母様)が再婚をして別の戸籍に移られた場合、またはご逝去なされた場合。

→奥様(お母様)に関する事実は『現在』存在しなくなるので、戸籍からは全員が抜けたことになり、除籍簿に移ります。

また、除籍簿(謄本)は本来の役目(戸籍)を終えた書類ですので、戸籍簿(謄本)と異なり、破棄までの保管期間が定められています。

除籍簿に入った年度から150年です(戸籍法施行規則第88条第3項、第52条、第8条。平成22年の改正前は、80年であったとのこと)。

3 戸籍謄本、除籍謄本が必要な場面

戸籍謄本が必要な場面は、『現在』の戸籍に関する事実証明をする場面です。

例えば、相続手続きにおいて、自身が被相続人の相続人(例:子)であることの証明をするために、『現在』の戸籍に関する事実(例:その人は被相続人の子で、現在生存している事実)を証明するために必要となります。

また、相続手続きだけではなく、婚姻・離婚の事実を記録、証明する書類として、またパスポート作成、年金請求などの際に、自身の身分証明書類として必要とされることがあります。

一方、除籍謄本が必要な場面とは何でしょうか。

戸籍謄本とは異なり、『過去』の戸籍に関する事実証明をするときに必要となります。

例えば相続手続きの際、被相続人の出生から死亡までの戸籍内容を明らかにするため、戸籍謄本、除籍謄本、改製原戸籍謄本(分かりやすく申し上げると、旧バージョンの戸籍簿※)という書類が必要とされます。

除籍簿(謄本)は、すでに全員が戸籍から除かれていますので、『過去』の事情しか記載がないのですが、例えば、被相続人が生まれてから優に80年以上経過して亡くなられた場合、令和の世から遡りますと、出生のころにあたる1930年代(昭和10年頃)の事実を明らかにする必要が生じます。

そういったかなりの『過去』の事実を明らかにするためには、その『過去』の事情が記載されている除籍謄本の記載が必要です。

ここで、旧バージョンの戸籍簿である改製原戸籍簿さえあれば、除籍簿など無くても『過去』の事実を全て明らかにできるのではないか、という疑問が浮かびます。

しかし、とある一族の戸籍簿から、死亡や婚姻により戸籍から全員が除かれてしまった場合、その戸籍簿は当然除籍簿に移ります。

その後、現在の一族の戸籍簿から過去の情報を調査する場合、その一族に関する改製原戸籍簿だけを見ても、除籍簿に移った過去の情報はないので、完全な(過去の)戸籍情報を明らかにすることはできません。

したがって、一族の『過去』の情報を調査する場合、改製原戸籍簿だけではなく、除籍簿を調べる必要があるわけです。

追記

※ 改製原戸籍簿は現在、4つあると言われています。

1 「平成6年式戸籍」(又は平成改製原戸籍)と呼ばれるもの

2 「昭和23年式戸籍」(又は昭和改製原戸籍)と呼ばれるもの

3 「大正4年式戸籍」と呼ばれるもの

4 「明治31年式戸籍」と呼ばれるもの

「これだけで、明治まで過去の情報を全て遡れるのではないか」というのが本文における疑問の発端です。

4 戸籍を読み解くのは難しい場合もある

このように、戸籍謄本と除籍謄本の違いを見てきましたが、相続手続きを行うにあたり、この違いや、改製原戸籍謄本との違いや必要な場面を理解しておくことは、円滑な相続調査実施のためには重要です。

しかし、これらを正確に読み解くのは、慣れていないと難しい場合もあります。

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